• 【ワークハピネス 】吉村 慎吾

禍福はあざなえる縄のごとし

私、大学時代遊びすぎて、大学1年生で早々と留年が決定し、親類縁者から呆れられました。朝、起きられなくて一限の語学を3回落とし、大学4年生でまだ英語Ⅰと仏語Ⅰをやる始末(ちなみに英語も仏語もⅡまであります)。


もちろん、成績も最低。”優”が一つもありません。時はバブル崩壊後の就職氷河期。就職活動をしても潜り込める企業があるとは思えません。


追い詰められて資格を取るしかないと思い、公認会計士試験の勉強を始めました。そして、運良く前日の山掛けが当たって合格。


もし、順調に大学を卒業し就職していたら今頃どうなっていたのでしょう。どこかの大企業でリストラの対象?もしくは既にリストラされて大変なことになっていたかもしれません。


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ピンチをチャンスに変える

今思うに、「大学1年生で留年が決まった」ことは、私の人生で最高の幸運です。


プライスウォーターハウスクーパース(”PwC”)に入ってからも、英語もできず、勤務態度も良くなかったので私は「最低の新人」というレッテルを貼られ、入社数ヶ月で仕事がゼロになりました。


外資系企業の決算は12月なので、会計監査の繁忙期は1月です。全員がてんやわんやで仕事をしている1月に私は広々としたオフィスで一人ポツンと捨てられたように座っていました。入社早々、仕事人生”オワタ”状態です。


ところが、そのおかげで急に飛び込んできた監査の仕事で、いきなり一人責任者をやることになるのです。ラストチャンスと思い、頑張って仕事を早く終わらせたら、一人のマネージャーにえらく気に入られ、一年後には同期を部下で使う立場になっていました。


まさに「禍福はあざなえる縄のごとし」


仕事人生の前半戦で、こんな体験をしたので、どんな酷いことが起きても「禍福はあざなえる縄のごとし」と信じ、何が起きても、この禍がもたらすポジティブな面を考える体質となりました。


国家においても「禍福はあざなえる縄のごとし」です。外圧でしか変われない日本。黒船が来航して、開国を迫られる「黒船禍」が明治維新の引き金となり、日本は一気に先進国への仲間入りを果たします。


そして、明治維新からわずか30年弱で、大国ロシアに勝つのです。ところが、この大金星が「日本は神国」「神風が吹いて負けることはない」との慢心となり、第二次世界大戦での敗戦へとつながります。


しかし、この敗戦による財閥解体、権威者たちの公職追放によって明治維新同様、若者たちのベンチャースピリットが再燃し、戦後の焼け野原の中からソニーやホンダといった国際的に大活躍する企業が多数生まれ、東洋の奇跡と呼ばれるほどの経済復興がなるわけです。


今、私たちを襲っているコロナ禍も、日本と世界が良い方向に向かう前触れだと信じたいです。


バブル崩壊からの失われた30年、先送りにしてきた日本の様々な問題がコロナ禍で一気に露呈しました。


日本政府と自治体の大幅に遅れたIT環境。大量の紙の申請書を埋めないと助成金の申請ができません。ドイツが数週間で給付金を配れたのに日本では未だに多くの人が未受領。台湾が数週間で新型コロナ接触者追跡システムを作れたのに日本はやっと緒についたところ。


テレビのニュースで流れてくるのはいまだホワイトボードで感染経路を追跡する昭和な保健所の映像。そして、感染数の報告はなんとFAX!。


極め付けは、いつまでたっても整備されないPCR検査体制。その能力は8月に入ってやっと約30,000件/日で、欧米諸国の10分の1レベル。


企業サイドを見ても、中小企業だけでなく多くの大企業でIT環境が整わずにテレワークが不能。デジタルトランスフォーメーション(DX)とは程遠い実態が露呈。


経済力が落ちたとはいえ、「日本はそこそこできる国」と信じていた国民の誇りは無残に打ち砕かれました。


コロナ前、ちょっとした「日本はスゴイ!」ブームでした。様々なデータで日本を自画自賛してGDPで中国に抜かれた溜飲を下げていました。

ところがコロナが日本の真の実力を赤裸々にしてしまいました。もはや「日本はスゴクない!」のです。もう長いこと日本の労働生産性は先進国最下位で米国の約半分のままです。


コロナ禍は、官民ともに日本が先送りしてきた「DX」や「働き方改革」を一気に推し進め、労働生産性を飛躍的に向上させる大チャンスです。


「禍福はあざなえる縄のごとし」


ビフォアコロナを願うのではなく、これを機に積年の課題を一気に解決しましょう!

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